足掛けて牡蠣船の灯の傾けり/2026年6月号


爽籟抄(無監査同人作品)

足掛けて牡蠣船の灯の傾けり/小野伶

ひと通りめくりて花の初暦/超智哲眞

年立つや山水羊歯を迸り/前田佐吉子

革手袋蔵の隙間に朝日充ち/団藤みよ子

飛び石の藏へと続く実南天/藤川喜子

なまぐさき闇に始まる里神楽/阪本道子

牛を追ふやうに雪雲降りて来し/大高松竹

笹子来て伐られしままの松匂ふ/駒田弘子

子福者の小さき背中や日向ぼこ/田村紀子

一句得て捨てて今年の始まりぬ/板垣悦子

鳥の名の分からぬ同士日向ぼこ/前田照子

風切つて漕ぐ初乗の車椅子/河田陽子

今日明日がしんと佇む年の夜/稲井優樹

山眠る窯の火おこし始まりぬ/赤川雅彦

手袋の片方外す募金かな/林里美

初髪を褒め合うてまだ駅を出ず/帯谷麗加

さそはれて枯野の馬を見てをりぬ/星野早苗

庭履き曳く監視カメラの狸かな/新治功

冬蝶を嘴の争ふ日向かな/桑原規之

鯉の喉奥の桃色日脚伸ぶ/日野久子

風花集(同人作品)より

春昼やマニキュアの根を爪が伸び/市原みお

戻るほかなし椿に蜂の潜る世へ/若林哲哉

水温むwづかに泥の動きたる/片岡智子

時計くづれてあたたかな草の上/板倉ケンタ

Googleに従ひ春の墓地を過ぐ/大熊光汰

雨の日も鳥啼いてゐる草の餅/上田窓子

蕗の薹摘むつるんつるんの湯の帰り/原隆三郎

春鹿のぬつと顔出すカフェの窓/館ゑみ子

南風集(会員作品)より

花筵踏めば泉下の湿りをり/薄羽野馬

囀や梢澄みゆくみづたまり/両角鹿彦

春の川ゆく書かずとも描かずとも/五月ふみ

くるくると働く庭師紫蘭の芽/槙枝聖子

いちばん長いポテトは祖父に春日向/堀内照美

望郷や唇に淡雪の溶け/延堂裕子

切り株の色のなまめく雨水かな/岡田雅喜

花惜しむ部員一人の畳部屋/紅紫あやめ

ふらここに心を置きて登校す/青居舞

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