爽籟抄
同人の作品集『雪月集』より、主宰の村上鞆彦が推薦する句をご紹介します。
目借どき蒸されし肌を刃のすべり
口口口色鯉に夏来りけり
朴の花夕暮は身の細りけり
豆ごはん父より高く母に盛り
地震あとの山迫り来るキャンプかな
喫泉に鉄のにほひや雷の後
玉葱に泣く今が幸せかもしれず
五月来や紅茶おかはりできる店
友を訪ふえご散る午後のケアハウス
蝶々のおほかたは翅舞ひきたる
窓過ぎる野茨の白旅はじまる
葉裏より天道虫の覗きけり
麦秋や渡来の王の翔けたりと
豆めしや二階へ母のこゑ若し
逃水を踏む逃水の向かうの人
さくらんぼ分けつつ数を教へつつ
初夏や水浴びて象黒々と
鴨足草揺らして猫の壁に消ゆ
巣のひそむ庭木と知りてこどもの日
日傘さすことなき父の忌なりけり
風花集より
同人の作品集「風花集」より、主宰の村上鞆彦が推薦する句をご紹介します。
たまの休みは花運ぶ蟻見てをり
法廷に茂りの迫り来てをりぬ
誰にも見せぬ夜の裸で飯つくる
蓮の葉に日傘袋の飛びて載る
アガパンサス登校の子を透かしけり
スカートの裾をつつしむ茅の輪かな
老斑のまだなき手足昼寝覚
白南風や夫と見紛ふ竿さばき
